『シャンプー前にはブラッシングをしましょう!』
こんな内容を一度は目にしたことがあるはず。
でもシャンプー前にブラッシングをする必要は本当にあるのでしょうか?
結論から言うとほとんどの方には必要ないと思います。
正確に言うと必要な方もいるにはいるのですが、9割以上の方には必要がないということです。
『そんなばかな!シャンプー前のブラッシングが必要なんて常識だろ!』
そう思った方はぜひ最後まで読んでから判断してください。
シャンプー前のブラッシングを推奨している理由について
シャンプー前のブラッシングを推奨している主な理由は以下の3つとなります。
- ①頭皮のマッサージ効果
- ②汚れやほこりを落とす、浮かす
- ③髪のもつれ、絡まりをとく
まずこれらを順に説明していきます。
①頭皮のマッサージ効果の為
シャンプーで頭皮を洗う際に、それ以上のマッサージ効果が得られるので必要性を感じません。
ヘアブラシ特有の刺激が単純に気持ちいいってんなら別ですけど・・・
それなら別に頭を洗う前じゃなくてもいいですよね。
②髪のもつれ、絡まりをとく為
私が思うに、シャンプー前にブラッシングするまともな理由はこれだけです。
シャンプー前に、髪の絡まりを防ぐ目的で行うブラッシングは必要だと思います。
ただそんなに絡んでいなければ手櫛で十分だと思うんですよね。手櫛で引っかかる場合にはもちろん使ったほうがいいですけど。
なお髪をとかす際のポイントとしては、いきなり根本からとかすのではなく、まずは毛先からといて徐々に根本へ移行するようにしてください。
そもそも髪のプロはシャンプー前にブラッシングしているのか?
美容師や理容師は、シャンプー前にブラッシングしているのでしょうか?
気になる人は直接聞いてみてください。でもおそらくしていない方の方が多いと思います。理屈でも感覚でも経験上でもあまり意味が無いということが分かっていると思うので。
それにそもそも理美容室ではシャンプー前に、全てのお客さんにブラッシングしているわけではないですから。
(ひょっとしたらしている店も存在するかもしれませんが・・・)
私自身の経験でいうと、一部を除いて必要がないのでほとんどしていませんでした。
その一部というのは髪(主に毛先)が引っかかる方です。髪が絡まっているとシャンプーをする際に支障をきたすのでそういう方は髪をといていました。
またこれは少々極端な例ですが、以前私が働いていたヘアサロンで3週間に一度くらいの頻度でシャンプー・ブローをしに来ていたロングヘアーの女性がいましたが、その方にはシャンプー前に必ずブラッシングをしていました。
もちろん汚れを落とす為でも、頭皮のマッサージの為でもありません。
手櫛が通らないくらい髪が絡まっていたからです。
皮脂等で固まっていたといった方が近いかもしれません。
私が担当したことはなかったのですが、ブラッシングはかなり時間をかけてやっていましたね・・・と、いうか、かけざるを得なかったようでした。
ついでに洗っている所をちょろっと覗いたことがあるのですが、お湯も黒く濁っていて『3週間でこんなに頭ってよごれるんだなぁ』とぼんやり思った記憶があります。
ちなみにその際に使用したブラシはかなり汚れてしまうため、ブラシも毎回洗ってましたね。
③汚れやほこりを落とす為
日常生活程度の汚れやほこりでは、ブラッシングする必要性を感じません。
なぜならお湯洗いで汚れの80%は落ちるからです。
お湯で落ちる汚れをわざわざ事前にブラシで落とす必要が果たしてあるのでしょうか?
・・・ないですよね。
それにシャンプー前の汚れた髪をブラッシングをすることで、当然ヘアブラシも汚れる為に、ブラシ自体を掃除する手間も増えてしまいます。
またブラシをかけることにより、洗面所などに落ちた抜け毛の処理の手間も増えます。
それならブラッシングせずに風呂で洗って、抜け毛も排水溝でまとめて回収したほうが楽ですよね。
ただし汚れも種類により、ブラッシングが必要なケースもあります。
例えば海水浴に行って髪が砂まみれ、公園で派手に転んで頭が落ち葉まみれ等々。
こういった汚れは髪に絡みつき、シャワーでは落としにくいのでブラシを使ったほうが効果的です。
特に砂は洗髪の際に頭皮を傷つける恐れがあるので、ある程度ブラッシングをしたほうがいいでしょう。
またフケの出る方などは、毛にフケが輪投げの輪のように絡んでいることがあり、こちらもシャワーなどでは落としにくいので、ブラッシングで搔き出す必要があります。
汚れを落とす為のブラッシングは昭和の名残?
そもそも汚れを落とす為のブラッシングというのは、あまり洗髪しないような時代に推奨されていたことだと思うのです。
年代順に花王のシャンプーの広告をみてみましょう。
昭和7年(1932年)の広告
出典昭和からの贈り物
せめて月2回は!髪を洗ってください。汚れた髪は衛生に悪いばかりではなく、他迷惑でございます。
ややオブラートにつつんだ言い回しですが、要は『臭いから洗え!』ってことですね。
この女性は洗面器で洗っていますが、この頃はあまり風呂に入る習慣もなかったのでしょうか。
昭和10年(1935年)の広告
出典 昭和モダン好き
たった3年で1週間に1度になってます。3年で何があったのでしょうか・・・。
昭和25年(1950年)の広告
それから15年後は、夏の髪洗いは5日に1度に。じゃあ冬は・・・?
昭和40年(1965年)の広告
それから15年後も変わらず、5日に1度。ただし、季節は問わなくなってますね。
1976年(昭和51年)の広告
それから11年後は、毎日シャンプーしてもいいことになりました!
昭和52年(1977年)の洗髪頻度
実際の洗髪頻度はどうだったのでしょうか?
広告ではなく、昭和52年のインタビュー記事をみてみましょう。
結婚と愛を見つける雑誌ai(アイ)1977年6月号
『みっともないから週3回と書いといてくださいよ』と言っているのにそれをそっくりそのまま掲載するなんて・・・ひどい雑誌だ。
ブラッシングやシャンプーに気を使っているという発言に対し、『そうかしら?』って・・・これまたひどい扱い。
週3、4回でマメということは、この頃は3日に一回くらいの洗髪頻度が普通の感覚だったのかもしれませんね。
おそらく毎日シャンプーするのが当たり前になったのは、80年代後半くらいの朝シャンブームからでしょう。
なおシャンプーの頻度の推移に関しては、都市部の家風呂の普及率、シャワーの登場、シャンプーの品質の向上、リンスの登場、ライフスタイルや意識の変化、整髪料の多様化、マーケティングなど色々な要素が絡み合った結果かもしれませんが、結局の所・・・
『需要があったから』
だと個人的には思います。
本当にシャンプー前のブラッシングが必要な人は?
②頭が砂やゴミまみれの方
③髪が絡まっている方
④毎日頭を洗わない方(少なくとも4日以上)
このような方はシャンプー前にブラッシングが必要だと思います。
しかしこれらにあてはまらない方は、シャンプー前のブラッシングはわざわざする必要がないと思います。
要するに一昔前は、頭をあまり洗わない→皮脂が髪全体に行き渡る→髪が油分でベタベタ→髪に汚れが付着する→髪の汚れを落とす為ブラッシングが必要だったのですが、今ではほとんどの方が毎日お風呂に入っている→髪の毛サラサラ→髪に汚れがつかない→シャンプー前のブラッシングは必要ないということです。
なお私は『シャンプー前のブラッシングは必要ない』といっているだけで、ブラッシング自体が必要ないと言っているわけではないです。
ブラシに関しては、軽くて扱いやすいデンマンのD4ライトの一本でも持っていてもいいかもしれないですね。
シャンプー前のブラッシングより大切なこと
頭を洗うということは、髪を洗うことではなく頭皮を洗うことです。
今では衛生概念も変わり、毎日シャンプーをすることが当たり前にはなりましたが、私の経験上、男女を問わず、頭皮をちゃんと洗えているという人は実はあまりいませんでした。
ちなみに理美容メーカー(所謂サロン専売品を作っているところ)のアジュバンもそういう認識のようなので、私の勘違いではないと思います。
頭皮は毛が密集している上、皮脂分泌量も多く、体の中で一番汚れを落としにくい部位だと思います。きちんと洗うためには技術が必要なので、しょうがないっちゃしょうがないんですけどね。
で、そんな技術なぞないという方にお勧めしたいのは、シャンプーブラシを使うことです。
シャンプーブラシを使えば技術の有無に関係なく、誰でも簡単に頭皮をしっかりと洗浄することができるからです。
実は私はこんなもん(シャンプーブラシ)は必要ないとずーっと思っていたのですが、実際に使ってみて考えが一変しました。
よく考えてみりゃ、体もボディータオルで洗うし、歯も歯ブラシで磨くのに、なんで頭だけ手で洗うもんだと思いこんでいたのか・・・と。
シャンプー前のブラッシング(ヘアブラシ)なんかより、シャンプーブラシを使いましょう。
おしまい
なおこの記事を読んでもシャンプー前のブラッシングを試してみたいという方がもしいるのであれば、ヘアブラシタイプのシャンプーブラシがオススメです。