とても身近な事なのに、意外と知られていない水道水の塩素の話。
水道水の残留塩素濃度について
水道水の遊離残留塩素濃度は、各家庭の蛇口(給水栓)で、1リットルあたり0.1mg(0.1ppm)以上の濃度を保持していることが水道法により義務づけられています。
重要なのは各家庭の蛇口で0、1mgという所!
つまりどこの蛇口でも0.1mgの濃度を保持するということは、必然的に浄水場に近い地域は塩素濃度が高くなるということになります。
どこの蛇口からでも最低限の安全確保のために、この濃度であることが義務づけられているのですが、逆に塩素濃度の上限の規制等はありません。
しかし欧米などでは上限が定められているため、欧米諸国に比べると日本はかなり高い数値となっています。
地域、季節による塩素濃度の差
こちらは2004〜2006年頃の各都道府県の残留塩素濃度の数値をまとめたデータです。
サイト地域別残留塩素濃度一覧表
地域により塩素濃度は様々です。
低い地域では0,35ppm程度ですが、高い地域では1ppmを超えている地域もあります。
浄水する水は湧き水ではなく河川の水を利用する為、都市部などは河川が汚れているという理由から、比較的塩素濃度が高い傾向にあるようです。
また雑菌の繁殖力は水温が高い程活発になる為、冬より夏の方が塩素濃度を濃く設定しているようです。
1ppmって具体的にどのくらいなの?
1ppmは、水1ℓあたり塩素1mgです。
これを見て思ったより少ないと感じた方も多いのではないでしょうか?
実際に私も
1mgってことは、1g(1000mg)の千分の一だから大した事ないじゃん!
と思ってしまいました。
しかしこれはあくまで1ℓあたりの値ゆえ、具体的な量が感覚としていまいち実感できなかったからです。
ちなみに風呂一杯あたりの塩素(粉末状)だとこれくらいの量になります。
引用 東京都水道局
※1mg/L=1ppm
・・・なんとなく分かるような分からないような感じですね。
家庭でよく使われるハイター、ブリーチなどの塩素系漂白剤の主成分は、塩素と同じ次亜塩素酸ナトリウムなので、これで試しに風呂一杯あたりの量を換算してみました。
風呂一杯200ℓで1ppmの塩素濃度の水を作る為には、2mℓの塩素系漂白剤が必要になります。
1mリットルはおよそ15〜20滴程度なので、低めに見積もって15滴×2とします。
ということは・・・・
1ppmは、風呂一杯あたり塩素系漂白剤を30滴入れた状態とほぼ同じような感じです。
これをどう捉えるかは人それぞれですが、私は思っていたよりはかなり多いという印象を受けました。
水道水の残留塩素のメリット・デメリット
メリット
残留塩素の最大のメリットは、安全性確保のための殺菌力です。
末端の水道蛇口でも一定の濃度を保っているため、感染等の心配がなく、日本中で安全な水を使う事ができます。
実際に水道水を飲んで感染したなんて話どころか、お腹を壊したなんていういう話も聞いた事がありません。
ちなみに水道水が飲める国は、世界の中でも約13〜38カ国なのですが、これらの中には一応飲めるという国も含まれているようです。
もともと日本は水源が豊かなこともあり、安全性は世界トップレベル!
もっといえば世界一安全な水道水といっても過言ではありません。
そんな水道水が使えるというのは、もちろん塩素のおかげです。
塩素バンザイ!
デメリット
飲用に関しては独特の臭い(いわゆるカルキ臭)が発生することです。
臭いが味覚に多大な影響を与えるように、味にも影響があります。飲用に関しては、こちらが一番のデメリットですね。
飲用以外の部分では、水道水中の有機物と化合して有毒物質を生成したり(トリハロメタン)、酸化作用、漂白作用、殺菌作用により髪や肌のタンパク質にダメージを与えてしまう事です。
また温水の場合はさらに肌の脂質を溶かし肌を乾燥させたり、塩素が揮発し呼吸器系から体内に入るなどの弊害もあります。
終わりに
塩素は水道水を安全に利用するためになくてはならないものですし、浄水場は各家庭にいつでも安全な水を届けてくれます。
各家庭に届いた水道水の塩素に関しては、各自で対応するという認識が良いと思います。
飲料水に関しては、浄水器や、ミネラルウォーターが一般的ですね。
お風呂の水に関しては、人により肌や髪などに悪影響を及ぼす事もあるので、髪のパサつきや肌の乾燥、痒み等を感じる方は、塩素を除去する浄水シャワーヘッドを試してみてもいいかもしれないですね。
<こちらの記事もどうぞ>