塩素を除去する浄水シャワーヘッドは、除塩素作用、安全性、吐水量、温度などの観点から、主に
②亜硫酸カルシウム
③ビタミンC(アスコルビン酸)
の3つのろ材が使われています。
活性炭の特徴
塩素除去のメカニズムは、塩素が活性炭に接触し、水素イオン、塩素イオンに分解されることにより塩素を除去します。
なんとなく活性炭の吸着効果で塩素を除去してくれるようなイメージですが、基本的には炭素との化学反応により塩素を無害化します。
メカニズムを詳しく知りたい方は、こちらの会社のサイトで分かりやすく説明してくれています。
●活性炭は、浄水場や家庭用浄水器にも使われているポピュラーなろ材です。また他の用途として空気の浄化や脱臭用にも使われています。
●活性炭は不水溶性(水には溶けません)。
●各メーカー専用のフィルター式カートリッジとなります。カートリッジには、ろ材(活性炭)を包むことを目的とした不織布が使われていますが、メーカーのホームページ等では特に記載してありません。
不織布は・・・要するに『紅茶のティーパックと同じような用途』で使われています。
カートリッジの交換に関しては、メーカーの推奨している交換目安時期や体感等を参考に、自分で取り替え時を判断する必要があります。
よく分からないという場合は、塩素試薬などを使う事により確認する方法もあります。
ろ材の寿命が長い
ビタミンCや、亜硫酸カルシウムに比べて遥かに長持ち・長寿命です。
例えば水生活製作所の活性炭カートリッジの場合だと、一日100ℓ使用しても1年も持つ程の長寿命。
活性炭は細孔という微細な穴が多数あり、1gあたりの表面積は500〜2000㎡ともいわれています(1000㎡=約600畳)。活性炭は塩素に触れると酸化してしまうのですが、表面積が広いため長寿命なのです。
なお交換目安時期は、トレビーノは約5ヶ月、水生活製作所は約1年となります。
反応速度はあまり速くない。塩素除去率は徐々に低下
不水溶性のろ材ゆえに反応速度は速くはありません。そのため活性炭タイプのシャワーヘッドは、ろ材に長く触れさせる為に、柄の部分に収納する円柱状のカートリッジになっているようです。
最初は100%に近い値の除去率なのですが、使用しているうちに塩素除去率は徐々に低下していきます。
メーカー推奨の交換目安の水量使用時(ℓ)の除去率は約50%、交換時期目安時(日数)の除去率は約60%となります。
吸着作用がある
活性炭は先ほど書いた細孔により不純物を吸着する作用もあり、臭いや不純物、有害なトリハロメタンなどを吸着してくれます。
ただしトリハロメタンの吸着に関しては活性炭自体の品質により異なり、浄水シャワーヘッドに使われているものだと基本的には除去できないようです。
おそらくまったくとれないわけではないが、除去できると謳えるほどはないという感じだと思います。
また吸着作用という利点がある反面、そのフィルター的要素のためにやや吐水量が落ちるというデメリットがあります。
また住んでいる地域の水質にもよりますが、不純物を吸着することにより徐々に吐水量が落ちてしまうというケースもまれにあるようです。
★手間がかからず吸着作用に優れる活性炭
忙しい人、忘れっぽい人、面倒くさがりな人、ズボラな人に最もオススメのろ材です。
また日本と違い水があまりきれいではないという海外在住の方にも良いろ材だと思います。
亜硫酸カルシウムの特徴
亜硫酸カルシウムが、残留塩素の酸素をとり、硫酸カルシウムに変わる還元力により残留塩素を分解し塩素イオンに変えることで除去します。
メカニズムを詳しく知りたい方は、こちらの会社のサイトで分かりやすく説明してくれています。
●亜硫酸カルシウムは、簡易的な家庭用の浄水器などにも使われています。
また他の用途としては食品の酸化防止剤など、食品添加物としても使用されています。
●あまり水に溶けませんが、成分を微量づつ溶解させ塩素と反応させます。
●各メーカー専用のフィルター式カートリッジとなります。カートリッジのろ材には、不織布と明記してありますが、活性炭タイプと同様に、ろ材を包むことを目的としたもので、何か特定の物質を除去するというわけではありません。とはいえ、微細なゴミは取り除けるとは思います。
こちらも活性炭と同様に、各メーカー推奨の交換目安時期や、体感等で判断して交換する必要があります。
寿命は普通
2ヶ月、もしくは4ヶ月の寿命。
活性炭ほどは長く持ちませんが、ビタミンCよりは長く持つといったところです。
反応速度は速い。塩素除去率は徐々に低下
反応速度が速く、また少ない量で塩素を除去出来る為に、ろ材は主にシャワーヘッドのヘッド部にも使用されるケースが多いです。
水の勢い(吐水量)もほぼ変わりません。
最初は100%に近い値の除去率ですが、ろ材の成分が徐々に溶けだしていくので使用しているうちに塩素の除去率は低下していきます。
メーカー推奨の交換目安の水量使用時(ℓ)の除去率は約50%、交換時期目安時(日数)の除去率は約60%となります。
反応温度は40℃前後
水だとあまり反応しません。
その為、風呂掃除の際に水を使えばろ材を多少長持ちさせることができます。
★亜硫酸カルシウムはバランス型のろ材
水圧を落としたくない、なおかつ交換の手間をあまりかけたくない方に最もオススメのろ材です。
亜硫酸カルシウムは、なんやかんやの化学反応後に石膏の主成分である硫酸カルシウム生成されますが、これは湧き水などにも含まれているものなので肌に合わないというケースもほとんどないと思います。
アスコルビン酸(ビタミンC)の特徴
酸化還元反応が起こり、塩素を無害化します。
こちらは分かりやすく説明してあるものがネット上に無かったので化学反応式を参考にしてください。
C6H8O6 + NaClO → C6H6O6 + H2O + NaCl
アスコルビン酸(ビタミンC)+次亜塩素酸ナトリウム(塩素)→デヒドロアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)+ 水 + 塩化ナトリウム(塩)
●説明不要のビタミンC。他の用途としては酸味料、酸化防止剤など食品添加物としても使われています。
●アスコルビン酸は、水溶性(水に溶けます)。
●専用カートリッジを交換するタイプと、粉末を補充するタイプがあります。ろ材を包む必要がない為、不織布は使われていません。しかし微細なゴミを取り除くために、一部の製品には金属板のフィルターがついているものもあります。
ビタミンCのカートリッジの交換、補充に関しては、基本的には目で見て残量が確認できる、もしくはその為の機能がついています。
補充、交換頻度はやや多目
ろ材は水溶性の為、徐々に減っていきます。
なので、その都度補充する必要があるのですが、その頻度は他のろ材に比べると多くなります。
交換、補充頻度は、1ヶ月〜3ヶ月程度です。
反応速度は速い。塩素除去率は常に一定
反応速度が速く、注入方式なので吐水量も変わりません。
ろ材はヘッド部分、柄の部分のどちらにも使われています。
ビタミンCが切れない限り塩素除去率は変わらず、常にほぼ100%除去しますが、切れた場合は、100%→0%となります。
水の軟水化
カルシウム自体が無くなる訳ではないのですが、カルシウムによる弊害を低減させる作用があります。
その結果、石けんの泡立ちがよくなり、さらに石けんカス(金属石けん)が出来にくくなります。
また散水板の目詰まりの原因は、主にカルシウムなのでその部分にも効果あり。
★塩素除去率は常に安定しているビタミンC
塩素を常に100%除去したい方、カルシウムによる弊害を軽減したい方に最もおすすめのろ材です。
ビタミンCは、極まれに肌に合わないという方もネット上ではいるようです・・・が、皮膚科の医師が湯船の塩素除去に推奨していますし、そもそも化粧水や乳液などにも大抵入っているものなのでよほど特別な体質で無い限りは問題ないと思います。
ろ材の種類にはそれぞれ一長一短があるので、自分の求めていることの優先順位をはっきりさせることが重要
『なるべくお金をかけたくない』
『塩素をできるだけ除去したい』
『交換などの手間をあまりかけたくない』
『勢いのあるシャワーが好み』
・・・など、人によって求めているものは違うと思います。
ろ材にはそれぞれ特性があるので、自分の求めているろ材を使った塩素除去シャワーヘッドを選ぶことが重要です。
またその際、ろ材の特徴に加え、シャワーヘッド自体の性能や、ご自身のライフスタイル等も加味した上で検討することをおすすめします。